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「雪割草シリーズ」
凌霄花

 〈09〉 昼行燈

 ← 〈08〉 赤穂 → 〈10〉 白鷺城
早苗と助三郎は大広間の屋根裏に陣取った。
忍び二人は何処へとなく姿を消した。
 しばらくすると、藩士たちが続々と集まり始めた。
彼らの表情、話し声から、不安な気持ちがひしひしと伝わってきた。
 
「……いよいよだな」

「……気の毒だな」

 成行きをすでに知っている二人は、眼下の男たちに同情した。
主を失う悲しみは経験済み。
 しかし、その喪失は晴天の霹靂。
二人の予想通り、とんでもない衝撃が赤穂城に走った。

 男たちの中に、最初声をあげて泣くものはいなかった。
何が何だかわからない彼らは、感情任せに怒声を上げていた。
 疑問や憤り、怒りが悲しみに勝った。

「なぜ殿が腹を召さねばならんのだ!?」

「吉良は、吉良はどうなった!?」

「殿が亡くなったこの藩はどうなるのですか!?」

「御家老、なにか御意見を!」

 多くの者が疑問を口にする中、家老大野九郎兵衛は騒ぎを鎮めようと躍起になっていた。

「わしも分からん! とにかく静かにせんか!」

 しかし、人望が無い彼では男たちを収めることは出来ない。
若い者が、一際大きな声でその場で彼を無視し、彼より身分が高い者に向かって言った。

「大石殿! 何かおっしゃって下さい! さっきからだんまりではないですか!」

 これに便乗するものが多く現れた。

「そうです。御城代!」

「御家老! 眠っていらっしゃるのではあるまいな?」

「大石殿!」

 若い者が次々に内蔵助に視線と罵声を浴びせ始めたが、年配の者たちが窘めた。

「静かにしろ、騒いでは話が聞けん」
 
 その言葉で、大広間は水を打ったような静けさに包まれた。
皆、大石内蔵助の言葉を待っていた。




 屋根裏の二人も、下の様子に興味津々だった。
 
「お、ついに昼行燈が化けるか?」

「だといいがな」

 内蔵助は衆人環視の中、瞑っていた眼をゆっくりと開けた。
そして口を開いた。
 
「……少し静かにせんか。夜更けに煩い」

 それだけだった。
それだけを気だるそうに言うと、再び眼を瞑った。
 この、なんとも期待外れの展開に、広間は再び騒がしくなった。

「そのような悠長な事を言っておる場合ですか!?」

「そうです! 殿が、亡くなられたのですよ!」

「これだから昼行燈家老は……」

 口々に文句や不満を述べ、落ち着くどころかさらに騒がしくなった。

 屋根裏の二人はがっかりしていた。

「あーぁ。やっぱり昼行燈なのかな?」
 
 あくび混じりに、助三郎がぼやいた。
その欠伸が早苗に移ったが、彼女はそれをかみ殺した。
 若くて体力があっても、船旅で疲れた二人に夜の仕事は辛かった。

「……疲れたな」

 思わず、口に出してしまっていた。
すると助三郎は急にしゃきっとして言った。

「俺がやっとくから、お前は帰れ」

「……だったら我慢する」

「……なら、一緒に帰ろうか。こんな喧嘩見てても仕方ない」

「そうかな?」

 二人で帰るの帰らないのと言っている最中に、大広間では動きがあった。
 ついに『昼行燈』に火が灯されたのだった。

 内蔵助は眼をかっと見開き、大広間に響き渡る声で男たちを諌めた。

「黙れ! ここで大騒ぎしても、何になる!」

 一瞬で騒ぎは静まった。
 広間には決まりが悪そうにうつむく男たち。
そんな彼等に、内蔵助は説いた。

「……殿が生き返るか? ……吉良様への刃傷沙汰が無くなるのか?」

 この言葉に反論する者は誰もいなかった。

「……起きてしまった事は変えられない。元には、過去には戻れない」

 内蔵助は穏やかに男たちを諭した。
ようやく落ち着きを取り戻し始めた男たちに変化が見られた。
 一人、また一人と、鼻を啜ったり眼頭を押さえたりする者が現れたのだった。

「殿を責めてはいかん。吉良様や上様、幕府を責めてもいかん。……詳しい沙汰があるまで、耐えるのだ」

 とうとう嗚咽を漏らす者が現れた。
突然の主の死、それが遠く離れた江戸で起こった。
 信じられない、信じたくない気持ちが彼らの中にあった。
 静まり返った広間を見渡し、内蔵助は告げた。

「今夜はこれで解散だ。明日以降、今後の対応を決める。早く帰って休め」

 この言葉を最後に、内蔵助は広間を後にした。





「……案外やるな。大石殿」

 屋根裏に潜む早苗と助三郎の眠気は吹き飛んでいた。
期待はずれだと失望していた男の姿は、本物ではなかった。
 今見た物こそ、本当の『大石内蔵助』
そう信じる二人の顔は明るかった。

「言ったでしょう? 人をみかけで判断しちゃいけません」

 いつしか弥七が助三郎の隣に居た。
助三郎は大いに驚いた。

「あ、弥七。どこ行ってた?」

「見張りですよ。ちっと厄介な奴らのね……」

 彼は手に手裏剣を持っていた。
物騒な武器を触る彼の姿に、助三郎はなにか引っ掛かる物を感じた。

「……見張り?」

「……まぁ、この話はまた後で。それより、あっち行きましょう」

 二人を何処へ連れて行こうというのか、早苗は疲れていたので少し躊躇した。

「何処へ?」

「あっちです」

 しきりに先導しようとする彼に、二人は続いた。

 
 三人は弥七に先導されるまま歩き続けた。
城の本丸を出、いつしか城の隅の屋敷の屋根裏に連れていかれていた。
 そして、その屋敷の奥の一室の屋根裏で弥七は歩みを止めた。

「下を覗いてごらんなさい」

 二人は言われるまま、眼下に眼をやった。




 そこは、大石内蔵助の屋敷だった。
彼は城から帰るとすぐさま奥の薄暗い一室に籠り、江戸から届いた文を眺めていた。
 
「……殿、短慮はいけませんと昔から申し上げておった筈ですぞ」
 
 何度も彼は『切腹』という文字を撫でていた。
彼自身、突然のこの出来事に驚き、受け入れきれたはいなかった。

「……なぜ、刀を抜いてしまわれたのですか?」

 彼の眼は、『刃傷』という文字を見つめていた。
 
「……何か、理由があったのですか? 殿」

 その時、一粒の水滴が紙面に落ちた。
その雫は、『松の廊下にて……』の事件現場を伝える文字を滲ませた。

「……いけないいけない。濡らしては駄目な大事な文だ」

 彼は文をそれ以上濡らさないよう大事に懐にしまった。
その行為は正しかった。
 彼の眼からは、次々と涙が溢れだしていた。

「……なぜ刀を抜かれたのですか? ……吉良様と何があったのですか?」

 それに答えるものは誰も居ない。
内蔵助は我慢が出来なくなり、とうとう嗚咽を漏らして泣き始めた。

「殿…… どうして、どうして……」

 いつしか灯りは消えていた。
暗い部屋の中、内蔵助はさめざめと涙を流し続けた。





 その姿は屋根裏の早苗の涙を誘った。
 彼女の脳裏に、光圀と言葉を交わした最後の言葉、最後に見た彼の優しい笑顔が浮かんだ。
 二度と聞けないその声、二度と見られないその笑顔。
 それを思うと、酷く悲しく辛かった。
泣くまいと我慢していたが、鼻を啜る音で助三郎に気付かれた。

「……格さん。大丈夫か?」

「……なんでもない」

 彼女は乱暴に眼に溜まった涙を拭った。
その姿に、助三郎は何も言わなかった。
 彼も彼女と同じように亡き主を思っていた。

 共に過ごした時間は、早苗より長い。
 一緒に酒を飲み羽目を外し、早苗に叱られた旅の思い出。
仕事で失敗して酷く叱られた苦い思い出。
 いい事も悪い事もすべてが懐かしかった。
 亡き主を偲び、一つ小さな溜息をついた。

 しかし、彼の気持ちの切り替えは早かった。

「二人とも、そろそろ帰ろう」

 いつまで居ても悲しみが増すだけ。
そう思い彼は腰を上げた。

「お先にどうぞ。少ししてから行くんで」

 弥七は再び手裏剣を触っていた。
ギョッとした助三郎だったが、彼は彼の事情があると割り切り、同僚に声を掛けた。

「格さん、帰ろう」

 二人は混乱と悲しみに包まれた赤穂城を後にした。





 小気味良い包丁の音と、美味しそうな匂いに釣られ、助三郎はフラフラと寝床を出た。
それは寝坊助な彼にはとても珍しい事。
 
 彼はいつしか台所に来た。
そこには、女の姿が。
 手際良く朝餉を作る妻に見惚れ、彼はフラッと近寄り、幸せそうにその姿を眺めた。
 
「……早苗だ」

 彼女を背後からギュッと抱き締めた。

「……早苗」

 しかし、何かがおかしかった。
抱き締めたその身体は、異様に硬かった。

「……あれ?」
 
 妻がこんなにゴツゴツしていた筈はないと、彼は再び抱き締めた。
しかし、柔らかさを取り戻すどころか、よりゴツゴツした感触が伝わって来た。
 おかしいと思いながらも、身体を離さない彼だったが、耳に届いた低い声で現実を把握した。

「……助さん、さっきからなにやってる?」

「え?」

 見ると、彼が抱き締めていたのは、早苗ではなかった。
襷掛けし、手に菜切包丁を握りしめた呆れ顔の男だった。
 助三郎はすぐさま身体を離し、弁明を試みた。

「……ち、違うんだ。寝惚けただけだ!」

 平手打ちが飛んで来るのを恐れ、身構えた。
しかし、早苗は上機嫌だった。
 再び朝餉の支度の手を動かしながら、彼に話しかけた。

「珍しいな。一人で起きて来るなんて」

「え?」

 叱られない、手が飛んでこない、睨まれない事に驚いた助三郎はポカンと立ち尽くした。
その彼の開いた口の中に、早苗は卵焼きを一切れ押し込んだ。

「ほれ、褒美だ」

「……ん?」

「どうだ?」

 優しい甘さ。
助三郎が作る菓子の様に甘い物とは格段の差がある。

「……美味い」

 それはいつもと変わらない、早苗の卵焼きだった。
しかし、作り手は男の姿…… 

「よし、助さんこれをそっちに持って行ってくれ。弥七とお銀はもう食べたから、二人分で良いぞ」

「了解……」

 助三郎は素直に朝餉の準備を手伝った。


 


「はぁ……」

 助三郎は茶碗を片手にこっそりと溜息をついた。

「やっぱ、我慢しすぎたかな?」

 寝ぼけ眼で見た妻の幻は欲求不満の成せる技。
そう信じた助三郎は、溜息を再びついた。
 朝からあまり元気のない夫に早苗は気付いた。

「我慢って、なんの我慢だ?」

「……なんでもない」

 男の我慢がなんたるや、見せかけだけ男の早苗にはわかる筈が無い。
それは、助三郎の悩みの種だった。
 親友の『格之進』にできない唯一の相談が『男の悩み』

 男の助三郎から見ても、『渥美格之進』は良い男。
頭は良い。腕は立つ。女が放っておかない男前。
 しかし、その彼が本当は男ではなく、自分の大事な可愛い妻。
そのことに彼は何度目かわからない疑問を抱いた。


「……早苗と格さんが一緒だなんて、やっぱりおかしい」
 
 作る味噌汁は全くもって早苗と同じ。
先ほど口に突っ込まれた卵も一緒。
 違うのは姿だけ。

 早苗と格之進が分裂し、『格之進』が本物の男になって欲しいとこっそりと願った。
そうすればより深い友達関係を築ける。
 そう信じてやまない助三郎だった。





 その日の昼、お銀から報告があった。
赤穂藩の藩札の交換が始まったという物。
 二人は疑問を口にした。

「赤穂藩は、取り潰しってことか?」

「大石殿は、そう見込んでいるみたいだな」

 藩の中でしか使えない藩札。
これが赤穂藩が潰れる事で紙屑同然になってしまう前に、銀に変える。
 混乱に乗じて踏み倒す事も出来なくはないにも関わらず、それを行う内蔵助に、早苗は感心した。

「やっぱり、『昼行燈』殿ではないみたいだな」

 すると、先日『昼行燈』と言った張本人のお銀が、内蔵助を褒め始めた。

「すごいのよ。ケチケチ大野さまが猛反対したんだけど、それを押し切って満額の六割で交換ですって」

「……すごいな」

 早苗は改めて大石内蔵助の人となりに感心した。
彼女が面白そうにお銀と話している傍で、助三郎は立ち上がった。
 
「俺はちょっくら偵察がてら散歩行ってくる」

 彼は、まだ見ていなかった町人たちの『藩主切腹』に対する反応が見たかったのだった。
早苗は彼を送り出すと、部屋の隅の机に座り、荷物から取りだした帳面を開いた。

「なにするの?」

 覗き込んだお銀に、早苗は快く答えた。

「日誌だ。今回はちょっと分厚い帳面にしたんだ」

 嬉しそうに話す彼女に、お銀は笑った。

「……好きねぇ。面白い?」

「好きって言うよりも、日課だな。後で絶対役に立つし、何年か経って見返すと色々思い出せておもしろい」

 彼女の言葉を聞いた後、お銀はなぜかにんまりとしていた。

「ふぅん…… でも、一番最初に書いたのって、『助三郎さま観察日誌』でしょ?」

「……違う!」

 それは嘘ではなかった。助三郎の眼に着く行動が多く書き綴ってある。
 早苗は猛烈に恥ずかしくなって、お銀に喰ってかかった。
しかし、彼女はそんなことに動じない。

「恥ずかしがらなくて良いでしょう。愛しの助三郎さまをずーっと見守っていた証なんだから」

「知らん!」
 
 早苗は恥ずかしさを紛らわせるべく、墨を摺り始めた。
力任せに…… 

「あぁ…… そんなにゴリゴリ摺ったら、墨が無くなっちゃうわよ」





 その日の夕方、四人となぜか一匹が額を寄せて会議を開いた。
議題は、『赤穂藩は潰れるか』
 
「……殿様が喧嘩しただけで改易になりますかい?」

 弥七が疑問を投げかけた。

「だが、相手の吉良様が死んでないのに、浅野様は切腹だ。極刑だぞ。なにがあってもおかしくない」

 助三郎が答えた。
お銀からも質問が。

「だけど助さん、浅野様には後継ぎの弟さんが居るんでしょう? お取り潰しまでとは行かないじゃないの?」

「……そうだな。大学様が居るからな。でもなぁ……」

「だよなぁ……」

 早苗と助三郎は『改易』という予想をしていた。

「なに? なにか考えてるなら、言って頂戴」

 唸る二人にお銀がけし掛けた。
その彼女に、早苗が答えた。

「……殿が、『仇討ち』を望んでおられるからだ」

「って事は……?」

「仕える藩を無くした武士は浪人になる。縛る者も、責任を感じる物も無くなる。……そうしたら、やりやすいだろ?」

「そういうことなのね……」


 早苗の話に助三郎が補足した。

「当代の上様になって、潰された藩はかなり増えたろ?」

「……柳沢様の影響ですかい?」

「そうだ。ちなみに殿は柳沢様を毛嫌いしておられる。今回の浅野殿切腹にも、柳沢様が一枚噛んでいるとおっしゃっていた」

「で、取り潰しは間違いないと?」

「あぁ」

「取り潰しになるのはほぼ確定。だけど、それで仇討決行って流れになるかはわかりませんぜ」

「そうだよな……」

 一同は溜息をついた。

 しばらく沈黙が続いたが規則正しい寝息が聞こえた。
それは会議の一員、クロの物だった。
 犬には難しい話が続き、耐えきれずに眠ってしまったのだった。

 可愛らしい寝姿に一同は癒された。
これが思考回路の活力源となったのか、動きが見えた。

「助さん。一度江戸に戻っていいですかい?」

「そうだな。殿に報告が要るしな」

「では早速行って来るんで、お銀よろしく」

 突然立ち上がり、玄関へ向かう弥七にお銀は驚いていた。

「え? 今すぐ行くの?」

「当り前よ。善は急げってね」
 
 弥七はその言葉通り、すぐに姿を消した。

 部屋に残されたのは早苗、助三郎、お銀そして眠り続けるクロ。
一人抜けた所で、新たな作戦会議に移ることになった。
 しかし、二人はすぐさまお銀から仕事を振られた。

「あなた達に明日からしてもらう事は、逢引きね」

「は?」
 
 お銀の突然の言葉に二人の眼は点になっていた。
商談かと思って受け流そうとしたが、彼女は真面目に続けた。

「今後、どう転ぶかわからないでしょ?」

「どういう意味だ?」

「あなた達の話が当てはまるなら、お家存続が決まったら、あなたたちの密命は無くなる。
でも、お取り潰しだったら…… 気が遠くなるほど長い仕事になる」

 その通りだった。
『仇討』と一言に言ってもそんなに簡単な物ではない。
 何年も駆けて仇を取った話もあれば、出来ずに終わる悲しい話もある。
改めて二人は藩主から受けた密命の重大性を感じた。




 結局二人は『逢引き』の仕事を受けることにした。
早苗も、少し嬉しそうな助三郎の顔を見てまんざらでもなかった。
 その夜、お銀は早苗を風呂に呼んだ。
 二人で湯に浸かっていると、お銀は真面目な顔で早苗に話し始めた。

「……今回のお仕事、本当に長くなるかもしれないわ」

「はい」

「だから、これだけは守ってちょうだい」

「なんですか?」

「毎日早苗さんに戻ること。要はね、一日のうち一時でもいいから、必ず夫婦で居るってこと」

 早苗はそれを守れていなかった。
江戸を出てから数日、一度も夫の前で女に戻ってはいなかった。

「仕事だからって言って、ずっと男だとダメですよね?」

 根を詰めすぎ、精神を病んだ経験が彼女にはある。
二度とあのような事を起さないよう、気をつける心構えはあった。

「わかってるなら、それで良いわ。お互いに息抜きは必要だからね」

「はい」

 早苗は先輩の助言を守ろうと心に決めた。





 次の日の朝早く、隠れ家の玄関には女の姿に戻った早苗と助三郎が居た。
嬉しそうに早苗を見詰める助三郎をお銀は笑い、からかった。

「動きがあったら連絡するわ。だからそれまで思う存分イチャイチャして来なさいね」

「冷やかすな!」

 赤くなりながら助三郎はお銀を軽く睨んだ
お銀はそれも笑って受け流した。

「では、お土産期待してるわ。行ってらっしゃい」

 夫婦は『逢引き』という幸せな仕事に出かけた。
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