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「雪割草シリーズ」
待雪草

〈07〉 親の許し

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悩みに悩んで眠りにつき、朝になっても気が晴れない早苗は朝餉も食べず、部屋に籠っていた。

そんな彼女とは正反対に、助三郎は気合いを入れ朝早くから橋野家に又兵衛に会いにやってきた。

「おぉ、助三郎。わしに何か用事か?」

「はっ。」

「職場移動は無理だぞ。お前まだあそこで数年しか働いてないからな。」

又兵衛は人事の仕事をしていた。
数年前、光圀から頼まれ助三郎を彼の配下に送り込んだのは又兵衛だった。

「あの職場のままが良いです。御老公様はとても良くして下さいますので。」

「そうか、ならそのままにして置こう。で、本題は?」

「早苗殿を私に頂きたく…。」

「ほう、早苗か。なんで欲しい?」

「は?」

あまりもあっさりしすぎている。おかしい。

「お前、田んぼでも耕す気か?」

稲の方の早苗と娘の名前とをなぜ間違える?

「…その早苗ではなく。あの…。」

「はっきり言ってみろ。」

「…御息女の早苗殿を嫁に頂きとう御座います!」

「……。」

「…橋野様?」

「さっきのは冗談だ。…あれで良いのか?」

「彼女がいいんです!」

「そうか…あいつ、昨晩から部屋に閉じ籠っておってな。さては、それが理由か。」

「…あの、泣いているんですか?」

俺の言い方が不味かったかな?
緊張して言いたいこと全部は言えなかったし…。

「わからんのだ。あの年になると、父親は嫌われてな、部屋には簡単に入れてくれん。
情けないぞ。」

「…はぁ。そうですか?」

「それで、美佳殿はなんと?」

「早苗殿が良いと言えば歓迎する、と申しております。」

「そうか…。しかしな、助三郎。問題がいくつもあるぞ。」

「私が不甲斐ないせいでしょうか?」

「違う。家柄が釣り合わんだろ?佐々木家の方が圧倒的に上だ。美佳殿は良くても、お前の親戚から何か言って来るぞ。」

「……。」

「…美佳殿のあの時も、龍之介の死んだ時もものすごくうるさかったからな。」

「え?何のことです?」

「…いかん、口外無用だった。気にするな、こっちの事だ。あとな、幼馴染みで手っ取り早いとの妥協ではあるまいな?」

「決してそのような事は御座いません!」

「そうか?」

「…恥ずかしながら、出仕した頃から、心に決めておりました。」

「というと、十くらいの時からか?」

「はい。我が妻は彼女をおいて他には居ないと。」

「…呆れたやつだ。あんなに女に囲まれておいて。」

「あれらは見た目ばかりの連中です。私が子供の時は見向きもしなかったのに、今になってすりよってくる。しかし、早苗殿は昔からずっと私の近くにいてくれました。」

「…わかった。早苗にどうか聞いてくる。」

「お願い致します。」


昨日は『はい』って言ってくれた。『やっぱりイヤ!』って言われたらどうしよう…。
イヤだから、部屋に籠ってるのか?
普段なら、そんなことするような性格じゃないしな…。

しばらく不安と期待で落ち着かなかった。



「聞いてきたぞ。」

「…なんと?」

「『謹んでお受けします。』と言っておったぞ。よかったな。お前の嫁にやろう。」

「ありがとうございます!義父上!」

「…気が早いな。」

「では、仕事がありますので、これにて失礼いたします。」

「早く行くのだぞ。御老公に怒られるからな。」

「はい!」



やった!
ついに本当に、夢がかなった!
義父上に認められた、早苗に受け入れられた!
俺に怖いものはない!
俺はなんでもできる!


職場に着くと、思った通り光圀の機嫌があまり良くなかった。

「助三郎。遅かったの。」

「御老公様、申し訳ありません。いささか私用がございまして。」

「なんじゃ?いいことか?」
興味ありげに聞いてきた。

「はい、嫁が決まりました!」

「又兵衛の娘の、早苗か?」

光圀から一度見合いの話が助三郎に持ち込まれたが、彼は決めた人がいると断った。
光圀はうすうす相手が誰かは気付いていたようだ。

「はい!」

「良かったのう。そのうち祝いを届けさせよう。」

「ありがとうございます!」

「では、ひとまずこれを取らせよう。」

目の前にドカっと、書類の山が現れた。

「これは?」

「仕事じゃ!昨日残して行ったであろう!さっさとやって今日の分もやるのじゃ!良いな!」

「はっ!心得ました!」



「やけに素直じゃな。」

「うれしいんでしょう。若い者は単純でよろしいことで。」

職場で一番年配の男が、光圀に仕事について相談しに来てた。

「いい機会じゃ。どんどんあれに仕事を持っていけ。やる気がある時の助三郎は使い勝手がいいからの。」

「わかりました。…しかし、普段からあれだけ真面目にやってくれれば助かるんですがね。」

「そうじゃな。」

「どうです、あれと同い年ぐらいの者を職場に入れてみては?
張り合いが出て、仕事をしっかりするようになるのではないでしょうか?」

「難しいかも知れんの。ここは若い者が来たがらん。」

「そうですか…。まぁ、又兵衛に気長に探してもらいましょう。」

「そうするかの」
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