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「雪割草シリーズ」
待雪草

〈09〉 義兄弟

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結婚を申し込んでしばらくたった。

助三郎はやる気満々のせいか、普段と違い仕事をバリバリこなした。
本来は仕事ができる男がやる気を出して仕事をするので、周りは溜まった分を任せた、
そのせいか、忙しい日々が続き、早苗と全く顔を合わせていなかった。

その日、仕事が減ってきたおかげで早く帰ることのできた助三郎は、早苗にでも会おうかなと橋野家に向かって歩いていた。

しかし、家に着く前に呼び止められた。

「助三郎。良い所で会った!」

「あっ。平太郎殿。」

早苗の兄だった。


「もう、兄でいい。」

「では、義兄上。何か御用ですか?」

「義弟よ、飲みに行こうじゃないか。」

「はい!」

久しぶりに若い人と飲める。
同僚は年配ばかりなので、気兼ねなく付き合えない。
若い仲間は職場が違うので、一緒につるむことがあまりできない。

世間話や互いの近況報告をした後、平太郎は義弟に結婚の話を振った。

「なぁ、俺の妹で本当にいいのか?」

「え?なんでですか?」

「…早苗がな、理由が分からないって嘆いてたぞ。」

「……。」
いかん。そういえば『好き』って言いそびれた。
バカだ俺…。

「心配するな。お前との結婚は嫌じゃないようだ。」

「そうですか。申し訳ありません。不甲斐ない男で…。」

「まぁ、祝言前でもいいから。『好きだ』くらい、言ってやれよ。」

「はい。わかりました!」
絶対言おう!


「おまえ、酒弱いな…。もう赤いぞ。」

酒が弱い助三郎はすでに酔いが回ってきた。
気が大きくなり、平太郎に聞きたいと思ったことを尋ねた。

「いえ、まだ大丈夫です!ところで、義兄上は誰かに『好きだ!』と言ったことは?」

「ブッ…いきなり聞くなよ!…残念だがな、今まで二三回やったが、全部ふられた。」

「へぇ。どうするんです?嫁は?」

「見合いで嫁を取るしかない。まぁ当たり前だがな。」

武家は見合いが当たり前。助三郎は例外。
すべて見合いを断わり、親に直談判した。

「義兄上、良い人なのに。なんて言われてフラれたんですか?」

「『平太郎さまは中途半端だからイヤ!』って断られた。なんだ?中途半端って。」

「なんでしょうね?あっ…。もしや。」

「おぅ、なんだ?教えてくれ。」

「学問は、そこそこ。剣術も、そこそこ。柔術はちょっと強い。これじゃないですかね?」

「ほう…。言ってくれたなぁ。まぁいい。酒の席だ。」

相当酔いが回ってきた助三郎は若干失礼なことを口に出したが気付いていなかった。


「…お前もなぁ。女に囲まれて、モテまくってるくせにどうしてそう奥手なんだ?」

「さぁ。そうですかね?」
そうかもな。
好きでもなんでもない女なら平気で何でも言える。

「早苗にだけは特にだ。おかしいやつだ。」

ほんとにそうだ。早苗の前に行くと思ってることと反対のことが口に出る。
恥ずかしくて言えない。なんでだろうな?

「ハハハ!おかしいですよね?ハハハハ!」


「お前、出来上がって来たからあぶない。送ってってやる。」

「大丈夫です!義兄上!ハハハハ!」

「弱いやつ…。」


ふらつく助三郎に肩を貸し、平太郎は佐々木家の者に声をかけた。
そうすると、母の美佳が出てきた。

「母上殿、お久しぶりです。いつも妹がお世話になっております。」

「まぁ、平太郎殿、お久しぶりです。うちの助三郎が何か?」

半分寝かけているだらしのない息子を一睨みした。

「いえ、一緒に飲んでいたんですがね。酔ってしまったのでここまで連れてきました。」

「それは、大変ご迷惑をおかけしました。…平太郎殿、お礼とまではいきませんが、茶でも召し上がって行きませんか?」

「お心遣いありがとうございます。されど、今すぐ帰らないと家の者に叱られますので。この場にて失礼いたします。」

「では、ふくさまによろしくと、お伝えください。」

「はい。では。助三郎、二日酔いになるなよ!」

「へぃ…。義兄うえ…。」

義弟に活を入れ平太郎は帰って行った。



美佳は酔って寝転がっている息子を見てあきれ返った。

「本当にみっともない。父上と変な所ばかり似てもう…。」

「…母上。父上も酒が?」

「……。いいから、床に入って早く休みなさい。良いですね?」

「はい…。」

話をはぐらかされた。
父上の話を珍しくしたと思ったのに。

なんで父上のこと全然話してくださらないんだろう?
顔もはっきりと思いだせなくなってきた。

何か俺に隠していることでもあるのか?
いつか話してくれないのかな。



床に入る前、ふと今夜のことを思い出した。

早苗、不安がってるんだ…。悪いことしたな…。
はっきり言わないといかんな。
すっきりしてもらわないと。

よし、明日時間作って会いに行こう。
明日のために、二日酔いにならないようにしないとな。
ひとまず寝よう!

決心を固め、床に入った。
酔いのせいで、助三郎はすぐに眠りに落ちた。
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