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 ←〈08〉 御褒美? →赤穂義士祭
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「雪割草シリーズ」
凌霄花

 〈03〉 夫婦

 ←〈08〉 御褒美? →赤穂義士祭
『早苗……』

 優しい声がした。
今までそれはすべて夢の中で聞けるものだった。
 目を開けると彼は消え、辛い現実に引き戻される。

 しかし、勇気を出して恐る恐る目を開けてみれば、彼は消えずにそこに居た。

「早苗」

 本当に嬉しそうな笑顔を浮かべた彼。
 頬に優しく触れる彼の手に、自分の手を重ねた。

「助三郎……」

 そのとたん、一気に早苗の目は覚めた。
声が低すぎる。彼の手が自分の手に難なく収まる。

 すぐさま飛び起き、彼から身体を離した。
しかし、助三郎は離してはくれなかった。

「どこへ行く!? どこへも行くなって言っただろ!?」

 馬鹿力で引き留める彼に早苗は声を張り上げた。

「助さん、目を覚ませ! 俺今男だ!」

「そんなの知ってる! それに目なんかとっくに覚めてる!」

「は!? お前、自分が何してたかわかってるのか!?」

 その時、無断で部屋の障子が開いた。
早苗は助三郎の手を振り切り、布団の中に姿を隠した。

「助さん。早苗に言いつけるわよ」

「は?」

「格さんと浮気したって」

 助三郎は怒らなかった。
由紀が何とも言えない悲しそうな眼をしているのを見てしまったのだった。
 笑顔で冗談交じりに体よく彼女をその場から遠ざけた。

「格さんとの仲は早苗公認ですからお構いなく。すみませんが由紀殿、朝餉の支度をお願いできますか?」

「つまんないわね! わかったわよもう!」

 再び二人きりの部屋になった。
早苗は布団の中から出てこない。

「……ごめん、また戻れない。やっぱり秘薬が強すぎた」

 昨晩、夫に戻してもらうまで、もとの姿に戻れなかったのだ。
今朝再び男の姿になっている。
 このままでは夫婦の生活に支障が出る。

 落ち込む彼女の耳元で、助三郎はささやいた。

「気にするな。俺はお前の魂を愛してるんだから……」

 早苗の顔にカッと血が上った。
そのおかげか、勝手に元の姿に戻った。

「それこそ衆道よ、助さん」

 そこへまたも由紀が。
朝餉の支度ができたらしい。

「地獄耳なうえに支度がお早いようで……」

 怒る早苗をなだめ、由紀に頭を下げた。

「由紀さん、俺には好きなだけなに言っても構わない。でも、早苗と格さんはそっとしておいてほしい。頼みます」

 由紀は泣きそうな顔になったが、ぐっとこらえた。

「はい、朝御飯。終わったら台所に持ってきて」

「ありがとう」

 早苗も由紀の様子に気づいた。

「あの子様子がおかしいけど、どうしたの?」

「……与兵衛さんとの話、聞かれたかもしれない」

「どんな話?」

「後で話す。それより朝飯だ」




 だれにも邪魔されずに朝食を取った後、助三郎は懐からあるものを取り出し、早苗の前に置いた。

「これ……」

 彼女は青ざめた。
それは、助三郎の生霊に突き返した櫛。
 やはり、あれは本物だったのだ。

「……もう一度、受け取ってくれるか?」

「はい」

「それと、これも」

 助三郎は揃いの柄の玉簪を差し出し、さらに言葉を続けた。

「俺が死ぬまで、俺の妻で居てほしい」

 早苗は頷いた。
助三郎は手ずから櫛と簪を彼女の髪に差した。

「早苗。愛してる……」

 離れていた時間を取り戻すかのように、溝を埋めるかのように、長い長い口づけを交わした。





 それから二人は互いに離れていた間の話をした。
 お互いに包み隠さず話そうということになったが、早苗はどうしても自害未遂をしたことを話すことができなかった。
 そして、一通り話し終わった後、助三郎からある頼みごとをされた。
 それは早苗を自害未遂まで追いやった、一つの原因であるあの女の処分。

「……弥生の処分をわたしに?」

「そうだ。お前に任せようと思ってずっと投獄してある」

「なんで?」

「あの女は、大叔父と結託し、俺と早苗に精神的苦痛を与えた」

 その通りだった。
そのせいで早苗は溺死しかけ、家出し、最終的に自害未遂を起こしたのだった。

「どんな処分でも構わない。でも、無罪放免はダメだ」

「なんでも、いいの?」

「あぁ。もし早苗が帰ってこなかったら、早苗殺害の罪をなすりつけ死罪にしてやろうと思っていたくらいだからな」

 早苗は『死罪』というその言葉にゾッとした。

「いくらなんでも死罪はやり過ぎよ」

「わかってる。でも、早苗。俺はそれくらいお前が大事なんだ。それと同時に、殺したいぐらいにあの女が憎いんだ」

「一番良い処分を考えるから、もうそんな怖い顔しないで」

 大叔父を手に掛け、生霊になり、罪人を死罪へ……
それほどまでに自分を愛してくれる夫に感謝もしたが、同時に恐ろしさも感じた。
 己の身の振り方が夫の人生を左右する。


 穏やかな表情を取り戻した助三郎

「こんな話したあとに、なんだが……」

「なに?」

「今夜……」

 その続きを待った。
しかし、またしても邪魔が入った。

 どこからかクロが心配して泣き騒ぐ声が聞こえてくる。
急いで部屋を出て見れば、由紀が台所で倒れていた。

「由紀!? 大丈夫!?」

 駆け寄る早苗に、由紀は精一杯笑顔で答えた。

「大丈夫、大丈夫。ちょっと、目眩がしただけだから」

 途端、早苗は顔をしかめた。

「酒臭い…… どれだけ飲んだの?」

「ほんの少しよ。ほんの少し!」

 しかし、様子を見る限り、ほんの少しではなさそうだった。

「部屋で寝かせよう。早苗、布団敷いてくれ」

 由紀を持ち上げた助三郎だったが、妙に重いことに違和感を感じた。

「あれ? こんなに重かったか……」

「うるさいわね! あんたの女の方が軽いに決まってんだろ!」

 悪態をつく由紀に驚きつつ、急いで布団に寝かせた。
すぐに眠ってしまった彼女を置いて、二人は部屋に戻った。

「大丈夫かな?」

 親友を心配する彼女のそばで助三郎は違うことを考えていた。
いままであのような悪口を聞いたことがない。
 あれは酒のせいなのか?

「由紀さんって酒癖悪いのか?」

「ううん。弱いだけよ」

「そうか……」

 どこか引っかかるものがあったが、すぐに忘れて助三郎はニヤッとした。

「弱いっていっても、それは、お前の基準でか? それとも一般人の基準でか?」

「一般人! もう、人を飲兵衛みたいに言わないでよ!」

「飲兵衛じゃないさ。でも、早苗と格さんはまちがいなく水戸一強い」

「違うわよ!」

「違わない! そのうち落ち着いたら格さんとさしで飲みたい。よろしく言っといてくれ」

「はいはい……」


 こうしてその夜は、何事もなく過ぎて行った。
しかし、助三郎が今後毎晩早苗と同じ布団で寝るという宣言をしたので、早苗は満足した。
 もっと落ち着けば、そのうち……
 期待を胸に、眠りについた。





 次の朝、目覚めた早苗は姿が女のままということに安堵した。
そして、いまだ気持ち良さそうに眠る夫の寝顔を見てから、由紀が使っている部屋へと向かった。

「由紀、気分どう?」

 外から声をかけたが、返事はなかった。

「入るわよ」

 しかし、部屋の中に彼女の姿は無かった。

「由紀? 厠かしら? 由……」

 早苗は背後から忍び寄ってきた何者かに動きを封じられてしまった。





 助三郎が目を開けると、目の前にあったのは真っ黒な犬の真っ黒な悲しそうな目だった。 

『助さん、お腹減ったよぅ』

「あれ、朝飯前まだ貰ってなかったか?」

『晩ごはんも貰ってないの。朝御飯まで我慢できない。何かちょうだい』

「ごめんな。じゃあ、朝御飯もらいに行こうか」

 助三郎が起き上ったその時、男の悲鳴が役宅に響いた。

「なんだ!?」

 慌てて部屋を飛び出し、クロの導きを頼りに、声の主の元へと急いだ。
由紀の使っている部屋で、格之進が突っ伏して泣いていた。

「大丈夫か?」 

 彼女は激しく泣きじゃくるばかり。
 男の姿でそこまで泣くのは珍しい。
 変わり身のコツがいまだつかめていないのにもかかわらず、慌てて変身したためか、
 着物だけ女のまま……

「……なにかあったのか?」

 泣きじゃくるだけの彼女。
心配したクロが涙を舐めていたが、泣きやむ様子もない。
 すると部屋の隅から、見知らぬ男が少々困った表情を浮かべながら姿を現した。

「早苗、大げさだな、そんなに泣いて……」

 ポンと、肩に手を置いた男。
早苗は即座にその手をはねのけ、助三郎の背後に逃げた。

「来るな! 変態!」

「なんだ? 助さんとはできても、俺とはイヤってか」

「黙れ!」

 よくわからない会話をしている男と早苗。

「で、お前誰なんだよ?」

「由紀だ」

「は?」

 由紀だと名乗る妙な色男。
助三郎は意味がわからず、ぽかんとしていた。
 しかし、男がニヤッと笑って唇に手を当てるその仕草が妙に色っぽく、ムカッとなった。

「どうだ? 男前だろ? 記念に早苗の唇を頂いた」

 助三郎がその意味を理解し、声を上げるまえに早苗が怒鳴った。
しかし、それは悲鳴に近いものだった。

「違う!」

「良いだろ減るもんじゃないし。助さんにしてもらってないんだろ?いくらでもしてやるよ」

 早苗は畳に頭を擦り付け、泣きじゃくりながら必死に助三郎に向かって弁明し始めた。

「助三郎さま、早苗の姿ではなく、この姿でどうにか防ぎました! 許してください! 不義密通ではありません! 許してください! お願いします…… お願い……」 

 先ほどから異常なほど泣きじゃくる彼女を見て助三郎は気づいた。
 自分の留守中に彼女は手籠めにされかけた。
 護身は完璧だったが、心に少なからず傷を負ったのだと。

「おい、俺はただ冗談で……」

 助三郎は男の胸ぐらをつかみ、睨みつけた。

「誰だか知らんがな、早苗に二度と近寄るな!」

 そして早苗を連れて部屋へ戻った。
 しかし、早苗はいまだに泣き続けている。

「許してください……」

 早苗は手籠めにされかけた後、帰宅した夫に冷たくあしらわれた時の恐怖を思い出していた。
不義密通を夫に疑われ、冷たくされているのではと疑心暗鬼になっていたあの日々。
 それ以降長く続いた辛い日々……

「早苗、大丈夫だ。俺は何にも疑ってない。お前は潔白だ」

「でも…… でも……」

「俺はお前を信じている。だから早苗、お前も俺を信じてくれ」

「助三郎さま……」

「落ち着いて。深呼吸して。戻れるか?」

 早苗は言われたとおり、助三郎を信じ心を落ち着かせ元の姿に戻ろうとした。
すると、難なく戻れたのだった。

「ありがと、戻れ……」

 最後まで言うことはできなかった。
助三郎に押し倒され、唇を奪われて話せなかった。
 それは昨晩の優しい口づけとはまったく違う。少々強引で荒々しいもの。

 いままで経験したことのないそれに驚いたが、拒みはしなかった。

「……あんな男今すぐ忘れろ。早苗の男は俺だけだ。誰にもお前を渡さない」


 

 朝から濃密な時間を過ごした二人だったが、事には至らず。
不安なことがあるのに、できるわけがない。
 問題は先ほどのあの男。

「あの男の詮議をしないとな。本当にあれは由紀さんなのか?」

「そうだと思う……」

 もしも本当に由紀だとしたら、なぜ男になったのかも問いたださなければならない。
助三郎は立ちあがった。

「よし、確認してくる」

「わたしも行く」

 早苗も後に従った。

「……大丈夫か?」

「うん。助三郎さまがいるから大丈夫」





 助三郎は早苗を連れ、由紀の部屋へ向かった。
そこにはちゃんと先ほどの男がいた。

「早苗、さっきはすまなかった。ちっとやりすぎだな」

 男はそう謝ったが、早苗は答えずに助三郎の背後にそっと隠れた。
警戒を緩めず、助三郎は尋問を始めた。

「勝手に話しかけるな。最初に名を名乗れ」

 すると男は至ってまじめに答えた。

「元水戸藩奥方様付き女中取締役補佐、元紀州藩士八嶋与兵衛が妻、由紀にございます」

 女が男になった。
理由はただ一つ。

「昨日の晩、酒以外に何か口にしたか?」

「『危険猛毒』って書いたやつを三粒ほど」

 結論が出た。
男はまちがいなく由紀である。早苗の秘薬を使い、男になってしまったのだった。
 しかし、なぜわざわざ口にしたのか? 『危険猛毒』と書いてあるものを……

「……由紀、なんで食べたの?」

「……決まってるだろ? 死にたくなったのさ」

 さみしげに笑った彼女に、助三郎は恐る恐る聞いた。

「やっぱり、与兵衛さんとの話、聞いてたのか?」

「……そうだ。聞いちまったんだよ。この地獄耳でな」

 早苗は昨晩大まかにその話を助三郎から聞いていた。
しかし、信じられなかった。

「与兵衛さんの心の中には、他の女がずっと居たんだ。だから、謝りにもこねぇし。迎えにもこねぇ。俺なんか、死んだ女の綺麗な思い出には敵いっこねぇんだよ。でもな、今さらってあんまりだよな…… 俺に子供まで産ませといてよ……」

「由紀……」

 無理して笑っている彼女の気持が痛いほどわかった。
信じていた男の裏切り。それがどれほど辛いか。
 しかも、由紀の場合は早苗より大きいに違いない。
 波瀾万丈すぎる早苗と違って、由紀は結婚後今まで順風満帆だったのだ。
 それがいきなり……

「毒食らって死のうと思ったのに。死ぬどころか、男になってやがる。でも、なんだって秘薬を毒薬って書いておいとくんだよ?」

 由紀は話をそらした。
早苗はそれに気付いたが、そっとしておくことにした。

「ごめん。防犯用なの。毒って書いておけば普通の人も飲まないだろうし、どこかの忍びも手を出さないだろうから」

「ようわからんな。お前の考えは」

「ちょっと待ってて、解毒剤用意するから」

「簡単に元に戻れるのか…… だったら解毒剤は要らん」

「なんで?」

「しばらく男をやってみたい。それにな、俺好みのいい男だし。そこそこ良い身体だし」

 早苗は若干あきれたが安心した。
やはり目の前の男は姿は男でも由紀である。

「じゃあ、戻りたくなったらすぐ言ってね。三つも飲んだなら、ほっといたら男のままで年越しちゃうから」

「わかった。よし、そうと決まれば、荷物まとめるかな」

 いきなりのその言葉に早苗は驚いた。

「へ? なんで? どうする気?」

「お孝と新助に頼んで住む場所探してもらうんだ」

「なんで? ここに居ればいいじゃない」

「ダメだ。こんな色男がいたら、助さんの身体の毒になる。そうだよな?」

 助三郎は盛大に頭を縦に振った。

「悪いがそのとおりだ。俺の身が持たん。由紀さんが早苗って呼ぶだけでなんか、もう……」

「よし、早苗。お前のためにあの奥手を焦らせてやろう」

「へ?」

「俺に任せとけ」

 そう言うと由紀は早苗の肩を抱き寄せた。
早苗は言われた通り、由紀に身を任せた。

「早苗! 離れろ!」

 早苗はこの時、以前お孝に聞いた『焦らす』というのがこういうことなのだと学んだ。

「奥手男がいっちょまえに嫉妬したぞ。よし、早苗、いまだ! 今晩のおねだりだ!」

 早苗はその場のノリで助三郎の手をぎゅっとにぎり、精一杯可愛く言った。

「今晩、おねがいしてもいい?」

 初めての妻からのおねだりに、助三郎は真っ赤になって固まってしまった。

「よし、上出来だ。頑張れよ」





 由紀の出立の準備を手伝う早苗は、何度も同じことを聞いた。

「本当に出ていくの?」

「あぁ。邪魔ものは消えなきゃね。お前はやっとこさ幸せを手に入れたんだ。無駄にするんじゃない」

「でも、やっぱりわたし、与兵衛さんと話してくるわ。何かの誤解かもしれないし」

 いままで付き合ってきた与兵衛を見れば、由紀を裏切るなどあり得ない。
 なにかあるはず。それを知りたい。由紀を助けたい。
 しかし、由紀はその申し出を断った。

「ありがとな。でもいい。余計傷つくのが落ちだ」

「由紀……」

「昼にはちゃんと出ていく。だから、早苗」

「なに?」

「格さんに、下帯の締め方教えてくれって伝えてくれねぇか?」

 早苗は恥ずかしさと怒りの余り男に変わり、由紀の胸ぐらをつかんだ。

「なんだと?」

「何怒ってる? いいから、早速教えてくれよ。な?」

「絶対に嫌だ! お前俺の裸見たいだけだろ!?」

「おっと、見てほしいなら見てやってもいいぜ」

「黙れ! ドスケベ!」

 早苗はとうとう由紀に手を上げた。
相手が男の姿だからと容赦しない早苗。一方、男になったからと面白がって喧嘩を買った由紀。
 二人の取っ組み合いの喧嘩が始まった。

「おい! 何やってる!?」

 騒ぎを聞きつけた助三郎、止めに入った。
しかし、両人に拒まれた。

「お前は黙って見てろ! このドスケベ女に目に物見せてやるんだ!」

「そうだ助さん。俺はこのいつまでたっても男に慣れないふりしてるかまとと女に制裁を下してやるんだ!」

「もう意味がわからん! 勝手にしろ!」

 結局、水戸一の使い手である早苗が勝利し、下帯の付け方指南は助三郎がすることとなった。
 しかし昼には二人ともしっかり仲直りし、気持ちよく由紀を送り出したのであった。


 夕餉の後、早苗はあるものを眺めていた。
それは、義姉からもらった夫婦円満に効くという秘薬。
 せっかく由紀が気を利かせ二人きりにしてくれたのだ、自分自身も努力せねば。
そう決心した矢先に思い出したのがこの秘薬だった。

「えっと? 半分にすればいいのね?」

 普段ならば説明書はしっかり読む性格の早苗。
気が急いていたのか、義姉の贈り物ならば安心だと気が緩んだのか、なぜかこの時、最後までしっかり読まずに放ってしまった。

 湯飲み二つに秘薬を分けて入れ、湯を注いだ。
甘い優しい香りに嬉しくなった早苗はにっこり笑った。

「今夜こそ!」

 この秘薬が少々厄介な事態をことを引き起こすとは、早苗はこの時夢にも思わなかった。
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